清塚信也 OFFICIAL BLOG: 2007年09月

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2007.09.30

人の誇り

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孤高の鳥、白鳥です。
夕ご飯を食べに行く途中、ちょっと考え事をして湖の畔に立ち止まると、
向こうからスっと近寄ってきました。
見れば見るほど不思議な鳥です。
動物は危険な土地に生きていると、その土地柄の色に変色していくといいます。
ジャングルなどで生活する動物は兵隊さんの迷彩のようにカモフラージュされています。
色の主張が強い動物は「危険色」という意味合いであり、大体毒や武器を持っています。
しかし、この白鳥たちは、夜の漆黒の中に「純白」です。
その平和な主張が、なんとも誇り高さを感じさせます。
どんなときも誇りを忘れない。
僕も、そんな音楽家になりたいな。

バーンスタインは、危険な戦地に赴いてコンサートを開きました。
周りからの大反対も相手にせず、自分の音楽家としての誇りを最後まで貫いた。
怖いと思っても、不安を感じても、「ここで引き下がれない」という誇りを捨てないこと。
それが僕の一つの理想です。

漆黒の湖に浮かぶ、孤高な白鳥のように、僕は生きてゆきたい。
本当は勇気もなくて弱くて、独りでは何も出来ないくせに、

   「僕には守るべきものがあるんだ」

と強く言える芸術家になりたいです。
妥協せずに思いやりを持って、美しいものを愛し悪を憎む。
そして、誇りを忘れない。
これが芸術家なのではないでしょうか。
いや、これが、人間なのではないのでしょうか。

今頃、湖では密かに白鳥がくしゃみをしているに違いありません。笑

2007.09.29

木漏れ日の道

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写真は僕がいつもお稽古場に通うために通る道です。
今日は天気がとてもよくて、山々がよく見えました。
土曜日ということでお稽古はお昼まで。
今僕は遅いお昼ご飯と共にビールを飲んでいます。
木漏れ日の下を通ってアパートへと帰るとき、
     「お疲れ様でした」
って自然から言われてるようで、とても癒されます。
やっぱり、自然は大切だなー。
みんなで共存できるように、たくさん努力していきたいと思いました。

アリエルの兄姉たち

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今日はアリエルの分身のような存在である兄姉たちとのお稽古をしてきました。
アリエルが呼べばどこからともなく現れて、アリエルの仕事を助けます。
アリエルが歌えば彼らも歌い、アリエルが踊れば彼らも踊ります。
ちょっと練習が早く終わったので、
演出のクリスティーナさんとアシスタントのアニーナさんを入れて、
みんなで伝言ゲーム大会です。
「お兄ちゃんも入って!」
と強引に誘われて入ったものの、ドイツ語が全く分からず、
伝言ゲームどころではなかった僕です。笑
でも、ちゃんと英語でも日本語でもやってくれました!

僕は子供が大好きです。
あの笑顔、いたずらな表情、どこをとっても「歩く未来」です。
彼らの存在自体が、未来であり、希望なのです。
だから、彼らをみていると本当に心が落ち着くし、和む。
どこの世界でも同じ表情をして、同じようにはしゃぎまわる。
うるさすぎて怒られてちょっと凹んだり、本当にかわいい存在ですね。
彼らには一カ所だけコーラスしてもらいます。
不思議な妖精のコーラスです。
みんな、ちゃんと歌ってね。^^

2007.09.28

人生(みち)

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スイスでの生活がまた始まりました。
これから一ヶ月間、またテンペストづけです。笑
昨日報告があったのですが、ルツェルン劇場で僕のリサイタルを開いてくれるそうです。
「内容は自由。あなたの芸術性を爆発させて!」
とクリスティーナさんから言われました。笑
写真は僕の住んでいるアパートから見える風景です。
皆様にもこの美味しい空気と、美しい大地を少しでも味わってもらえるように、
心して曲を残してゆきたいと思います。

スイスのチューリッヒ空港に着くとき、素敵なアルプスの山々が見えました。
「旅する事と、人生を生きる事は本当に似ているな。」
そう思いました。
人は山あり谷あり、色々な険しい道を辿ります。
歩いている途中、8割、いや、9割は苦しいことかもしれません。
「どうして歩かなきゃいけないのだろう?」
時にはそう思うほど辛いこともあるかもしれません。
でも、色々な障害を越えて、山の頂上まで登ったとき、人は何と思うのでしょうか。
そこに辿り着いたとき、「あぁ、人生って嫌な事ばかりだな」って思うのでしょうか。
僕はそう思いません。
どんなに辛いことばかりでも、苦しいことばかりでも、きっと頂上ではこう言えます。

   「あぁ、なんて人生とは美しいものなんだろう」

僕たちが険しい人生の道を歩いているとき、時にやめたくなるほど苦しい思いをします。
でも、歩みを止めなければ、きっと最後には思うはずです。
「僕たちは美しかった」と。

そんなことを考えながら、飛行機は得意げに滑走路に着陸してゆきました。
さて、スイスでは何が待ち受けているのだろう。
ワクワクとドキドキを両手に、今日も僕はどこかでピアノを弾いています。

2007.09.26

本当に大切な物

小学2年生のときから、思えばもう15年以上も吉田翔平とは一緒に音楽仲間をやっています。
初めは僕のことを「野球少年!」とバカにして笑、途中はお互い楽器の違いからちょっと距離が
離れてしまったこともありました。
でも、のだめカンタービレで彼はのだめオケに参加していて、僕は千秋のピアノを。
彼がオケに参加していることを僕は知らなかったので、現場での偶然の再会をとても嬉しく思いました。
その再会から、頻繁に共演出来ることになりました。
本当に、人生というのは不思議な縁があります。

今日はいつもお世話になっているデザイナーの芦田先生のお宅へ行ってきました。
とても素敵なディナーで、素敵な人たちがお集まりになられていました。
その席で芦田先生は、こうおっしゃっていました。

「人生、長く生きれば生きるほど、大切なのはお金や物じゃなくて人との縁だと言うことが
 分かる。」

…なんて素敵なお言葉だろうと思いました。
僕が言えば単純かもしれないですけれど、先生が言えば重みのあるお言葉です。
お金や物じゃなくて、人との縁。
「そんなの分かってる!当たり前!」
とおっしゃる方もいらっしゃるかもしれないですが、本当に理解していますか?
本当に人との縁の方が大切だと思えますか?優先できますか?
いつも同じようにそう思ってられるのは難しい事だと思います。

明日から僕はまたスイスです。
「何十年と知ってるやつでも友達にすらなれない場合がある。
 でも、一日会っただけでずっと親友だったかのように親しくなれる人もいる。」
芦田先生のお言葉通り、「親友」になれる人を見逃さないために、心の目でよ〜く見てみよ
うと思います。

「俳優に必要なものってなんでしょう?」
という僕の問いに浅野和之さんは
「心を開くことだよ」とおっしゃいました。

「こんな早くに起きて大丈夫なの?」
というおばちゃんの問いに寅さんは
「人間ぼやぼやしてるとすぐ骸骨になっちゃうんだよ」とおっしゃっていました。

生き急ぐわけではないけれど、でも、人生で一番大切な「人」を見逃してはもったいない。
僕のピアノも、誰かの「大切」になるように、頑張りたいと思います。
いつも僕のことを応援してくれてる皆様、本当にありがとうございます。
僕はいつも愛に守られています。
ありがとう。

2007.09.23

生きるということ

所沢のコンサートで、自分でしゃべってみて改めて感じたことがあります。

「僕がショパンだったら、もう人生の半分以上は過ごしてしまっています…」
そう。
ショパンは39歳で亡くなるから、24歳の僕はもうとっくに半分は過ぎています。
僕はいつの間にか「もっと長生きする」と思って当たり前になってしまっているけど、
僕がショパンと同じ歳、もしくはそれ以下で死んでしまうことだって充分ありえる。
そう考えてみると、
子供の頃から「自分が死ぬ」という事をリアルに感じたことって無かったな。
そりゃ、いつかは死ぬって解っていても、頭で理解しているだけで、
本当にそのことで「不安」になったり、本気で悩んだりしたことはない。
ショパンの様に、「いつ死ぬかわからない」という恐怖につきまとわれていないのだ。

最近の小学生に多い意見だときいたのですが、
「死んだら生まれ変わってもう一度生きることができる」
と本気で言う子供が増えてきているそうです。
もちろん、宗教上の理由でそう言っているなら問題は別だと思うのですが、
そうでない子供が、本気で「生き返る」と思っているなら、少し問題かなと思います。

雑誌などの取材でよく質問されることがありますが、
「何故ベートーヴェンやショパンの頃、つまり、昔には凄い人が沢山いるのでしょうか?」
という質問です。
確かな事はわかりませんが、理由の一つとしてもしかしたら、
彼らには「死」が身近な存在だったのかなと思います。
常に死が隣にいることによって、
何をするのも「これが最後」だと本気でやってたのではないのでしょうか。
病気や戦争など、死が隣り合わせに存在する事によって、
人生をもてあますことがなかったのでしょう。

北野武さんがエッセイでおっしゃっていました。
「腹が痛いとき、自殺しようとするやつはいない。」
その通りだと思います。
人生がいつも何かの苦しみや不安を抱えている限り、
自分からやめようとする事は少ないと思います。
もちろん、その度合いが強すぎるとまた話は違うと思いますが、
でも、人生を必死に生きるためにこそ、「死」という不安材料が必要なのです。

僕は、果たして「死」を身近に感じているのでしょうか?

きっと感じていないと思います。
それどころか、自分が死ぬかどうか、まだリアルには感じていません。
でも、今夜、明日、いつ死ぬかなんて誰にも分からない。
生きてることには、保証がないんだ。

それでもやっぱり「死」をリアルにするのは難しいけど…
でも、今からは、人生を「いつ死んでもいいように」本気で生きてゆきたいな。
生きてることだけで、どれだけの価値があるか、
自分だけでなく、生きている人全てにそれを伝えていきたいな。

そうそう、所沢で素晴らしい演奏をしてくれた僕の親友、吉田翔平に心からありがとう!
これからも彼とは沢山演奏していくと思うので、皆様是非彼も応援してくださいね!

2007.09.21

DIARY〜東京JAZZ〜

今日は神童でご一緒した浅野和之さんと、国際フォーラムの「東京JAZZ」に行ってきました。
小曽根真さんの演奏を聴いてきましたが、大迫力な中にも繊細で美しい音が入っていて、
さすがにクラシックをお弾きになっているだけあるなぁ、と感動しました。
演奏後に楽屋にお邪魔してご挨拶をしましたが、とても親切で温かい方で、
それは演奏にもハッキリと出ていました。
人柄ってやっぱり大切ですよね〜。
「今度うちに遊びにおいで!」と気さくに言ってくれました。
是非遊びにいっきま〜す!^^

小曽根さん、ご招待頂いて本当にありがとうございました!
浅野さん、連れてってくれて本当にありがとうございました!
三谷幸喜さんの舞台、今から楽しみにしております。

さぁ、明日は所沢だ。
張り切って頑張ります!

2007.09.19

決意

一昨日ワーナーミュージックから発売になる僕のCDが出来上がりました。

クラシックという分野をはっきりと区別しているのは世界でも日本だけです。
「だけ」と言うと極端かもしれませんが、外国、特にヨーロッパでは、
「音楽」という中に全てが入っていたり、分野を分けるのもそれほどハッキリしてません。
そんな中、今日本の中でクラシックブームという流れがやってきました。
けんちゃんも大活躍の映画「神童」や、海外でも賞を獲っている「のだめカンタービレ」。
メディアで取り上げられているからこんな風にブームが起こるわけです。

でも、本当にこのままでいいのだろうか?という疑問が僕の中にはずっとあります。
ブームというのはすぐに過ぎ去ってしまうもので、「きっかけ」にしか過ぎない。
そう。
僕らは今皆さんへ「きっかけ」を掴んでもらったわけです。
しかし、僕らはそのきっかけを人気だと間違えていないでしょうか?
本当の人気とは、本当の良さを理解してもらえてやっと手に入れる事の出来るものです。
そして、本当の良さとは「神童」や「のだめ」だけでは理解出来ないものと思います。
もちろん、かなりクラシックの良さを物語っていると思いますが、
それだけで全てを知ることは出来ないでしょう。
クラシックには数え切れない程の曲数があります。
そして、ピアニスト一人の人生全てを使ってもその全曲は弾ききれません。
そのくらいの重みがある、歴史がある、そんな芸術です。
それを僕は広めていきたい。

ベートーヴェンがどれだけの苦しみを体験して、尚、人を愛していたか。
その愛の深さを表現したい。
ショパンがどれほど苦しい思いをしてピアノを弾き続けたか、生きていたか。
命の大切さを、尊さを伝えていきたい。

そんな決意を、このCDと共に作り上げました。
人の人生を感じることの出来る音楽。
宝箱を空けるかのようにわくわくと、きいてみましょう…

2007.09.16

DIARY

今日は伊藤楽器のイベントで弾いてきました。
クラッチのみんなと一緒にラフマニノフ協奏曲2番の3楽章も共演しました。
伊藤楽器が誇る6人の生徒たち。
本当に感動的でした。
一緒に作り上げるという楽しさ、そしてその感動。
言い表せませんね。
また必ず再会しましょう!^^

会場には1400人ものお客様が。
スイスで少し遠ざかっていた自分の演奏会が、また身体のなかで動き出しました。
この勢いで所沢もがんばるぞ!

2007.09.15

運命のゆくえ

ナポリの王様であり自らの父親でもあるアロンゾーが船の難破によって死んだものと思いこみ、
落胆の様子を隠せない王子ファーディナンド。

まだ物心つかない頃から無人島で暮らしていて、
父親であり元ミラノ大公であるプロスペローと、魔女の子供で醜く性格も悪いキャリバンしか
未だ見たことのない美しいミランダ。

この二人を恋におとすために、プロスペローは召使いの妖精アリエルを使います。
失意のどん底に落とされているファーディナンドをアリエルは美しい歌で癒します。
そして、その癒されたファーディナンドを一目見て、ミランダは恋におちます。

物語は1章の後半。
遂に、二人は出逢います。
まずプロスペローはアリエルを褒めます。
「この二人、一見交わしただけで恋におちた。見事だアリエル。
                     あと少しで自由にしてやるぞ。」
そしてプロスペローは、
ファーディナンドとミランダの恋心をいっそう強く確かなものにするためにも、
ファーディナンドにミランダの間をあえて邪魔します。
プロスペローは、王子の正体を知っていながらも、わざと盗賊だと疑います。
「ミランダ、気をつけろ。こいつは私たちのこの島を横取りしようとやってきた盗賊だ。
 おい!貴様!こっちへ来い!手と足を枷でつないでやる。お前の飲み水は海水で充分だ。
 お前の食料は、木の根で充分だ!!」
それを聞いて顔色を変え、思わず剣を抜くファーディナンド。
「なんだと!僕は王子だ!敵に力でねじ伏せられない限り、そんな仕打ちは断る!」
プロスペローは魔法でファーディナンドの身体を動かなくする。
「あぁ…。だめだ…。なぜだ?力が入らない。
 まるで夢の中にいるかの如く気力が萎えた…。」
一気にテンションが下がるファーディナンド。
「もういい。もういいんだ。父も友人も、皆の死はどうでもいい…。
 僕は、あの娘を鉄格子の中から日に一度だけでも見られるなら、それでいい。」
すっかり萎えてしまったファーディナンドを見ていられずミランダは言う。
「お父様、もうやめて。お願い。もう許してあげて…。私が保証人になります。
 誓って彼は悪い人ではない。だって、あんなに美しい人に悪魔が住みつける訳がない!」
必死にファーディナンドをかばうミランダ。
愛が増してゆく二人をみてプロスペローは(効果覿面だな。)と内心で笑う。
「なんだとミランダ!?父親の意見に逆らうか!?それ以上この盗賊をかばうようなら、
 強く叱りつけるぞ!わかったか!」
迫力のある父親の怒鳴り声にすくんでしまうミランダ。
「よし!お前!こっちへ来い!早く来い!盗賊め!牢屋に入っていろ!」
プロスペローは「しめしめ」と言った感じで牢屋にファーディナンドを閉じ込めます。
そして、次なる手段の準備に取りかかります。
「アリエル!おい!私の妖精よ!ここへ出てこい!自由が欲しければ、早く出てこい!
 次なる手立てを伝える。一言たがわずに聞くのだぞ。全て命令通りにきちっとやれ!」
空気の中からいつの間にか現れたアリエル。
「はい。一言違えずに。」
プロスペローは二人を見事に恋におとした。
それも、ただの恋ではなく、強く深く結ばれた恋。
アリエルの力もあって、ここまでは完璧に復讐の準備をしているプロスペロー。
次なる手段とは、いかに…。
その頃、島の別の場所では、ファーディナンドが死んだと思いこんでいるナポリ王一行に
大変な事が起きようとしていました。
もちろん、プロスペローの手の中での話ですが…

ここで第1章が終わりとなります。
完全に任務を果たさなければ許さないプロスペローからは、
軍隊の司令官のようなストイックささえ感じられます。
アリエルには「自由にしてやる」という言葉を巧みに使い、
若い二人の恋心には少し辛めのスパイスを。
本当に隙のない男です。
恋する二人を結ぶ環境に、何かの「障害」があればある程絆が深まる。
これを心理学では「ロミオとジュリエット効果」と呼びます。
周囲に反対されればされる程、二人だけ熱くなっていく。
そんな人の心理をプロスペローは冷静に巧みにコントロールしているのですね。
アリエルへの絶妙な「アメとムチ」にしても、恋心の「コントロール」にしても、
彼は正に心理学者ですね。

ああ、僕の中で曲が出来てくる。
音があふれ出てくる。
なんて幸せなんだろう。
芸術に触れるって、こんなに気持ちの良いことなんだな…
シェイクスピアさん、ありがとう。

2007.09.14

順序なんかぶっ壊せ!!

さぁ、蒸し暑い日本に到着致しました。
渋滞に湿気、人混みetc...
でも、どうしてこんな東京が好きなのかなぁ。
やっぱり、故郷なんだな。^^
ファイナルファンタジーはネットで買っておきました。^^v

TVは政治一色ですね。
安倍さん、残念でした。
でも、こうしてみると、小泉さんは本当に凄かったんですね。
影響力があった人物だ。
小泉さんは、それまでの政治家の「出世街道」を大きく変えて、
自分の周りをありきたりなエリートで固めたりしませんでした。
僕はその考えにはすごく勇気をもらったなぁ。

日本は何かと「順序」を気にする国です。
出世にしても、ピアニストになるにしても、何かと「順序」を気にします。
これでは、本当の力を見ないで、経歴にばかり目がいってしまう危険性があります。
僕も中学1年生の時に「ショパンの舟歌を弾きたい」と先生に言ったら、
「まだ早い」と否定されました。
それから、高校1年生の時に「ショパンコンクールに出たい」と言ったら、
「日本音コンまだ出てないからなぁ…」と渋られました。
何で曲やコンクールに「順序」があるのか、僕には未だに理解が出来ません。
もちろん、その人その人に合った「ペース」があるにしろ、誰にでもフィットする
「マニュアル」のようなものがあるのは納得いかない。
人生の取り扱い説明書のように型にはまったような考えを早くやめてほしいな。
特に、組織を動かす上の人間にこういう考えをする人がよくいる気がします。
…それではいけない。
僕は強く思います。

「自民党をぶっ壊す」

そう言い切った小泉さんの意志を、僕は受け継ぎたいな。
その曲をやるのが早いかどうか、やってみて決めればいいじゃないか。
それより、「あの時やってれば…」と後悔する事の方がよっぽど不幸じゃないですか。
僕も学校真面目に行かなかったり、先生の言うこときかなかったり、
人と違う順序で生きてきたので、かなりそれを色々な権力者からつつかれました。
それがコンプレックスで、出来る事も出来なくなった場合がありました。
要らない苦労、というのはこの世にないと信じていますが、
音楽を含める全ての芸術は、時間とタイミングとの勝負です。
どの時間のどのタイミングで練習しても
いつも同じように安定した結果が得られるとは限らないのです。
どういう心でどんな環境でやるか、そんな事がとても大切なのです。
一見我が儘に思えますが、でも、その微妙なタイミングによって、
その後何百年、何千年と人類の宝物として残る芸術が残るかもしれないのです。
そんな繊細な時に「順序」を気にして、それを後ろめたく思って、
出来る事も出来なくなってしまうような自体を引き起こしてしまって、
一体業界は何をしているのだろう?と不満です。

順序が全てではない。
人生にマニュアルが存在するわけじゃない。
少し人と違うからって、自分の存在を後ろめたく思わないで。
僕もそうだったけど、自分は自分なんだ。
自分が出来る事をすればそれでいい。
誰かにいじめられることもあるけれど、それを受け止めて、勇気にして歩き続けて。

うん。そう。
順序なんかぶっ壊せ!!

2007.09.13

二人の恋

キャリバンを魔法で痛めつけた後、プロスペローはミランダとファーディナンドを結ぶ魔法を
使います。
アリエルの歌で二人を恋におとそうと試みます。
そのアリエルの歌が日本語でやる歌です。

 おいで 黄色い砂浜に 
 手に手を取って お辞儀して 口づけを交わせば
 荒波も 静まりかえる

これが歌詞です。
その歌を聴いて、砂浜に独り漂着した王子ファーディナンドは生きる気力を取り戻します。
「あの音楽はどこから聴こえてくるのだろう?父上の難破を悲しんでいたら、
 甘い調べが聞こえてきて、僕の悲しみと海の怒りを和らげてくれた。」

さらに歌い続けるアリエル。

 水底深く父は眠る
 海の精鳴らすは 
 悲しみの 弔いの鐘

それを聞いてファーディナンドは力づく。
「あれは死んだ父を弔う歌だ。決して人間の歌声ではない。精霊か、神の歌だろう…。」

勇気を取り戻したファーディナンド。
その勇ましい姿をプロスペローはミランダに見せてあげます。
「ほら、あそこに何が見えるか言ってごらんなさい。」
ミランダは未だに父親のプロスペローと怪物の醜いキャリバン以外を見た事がない。
そんなミランダには、ファーディナンド王子が、それはそれは美しく見えただろう。

「あれは何?あれも精霊?本当に素晴らしい姿かたち。やっぱり精霊なのかしら?」

プロスペローは説明する。

「いや、あれは食べもすれば眠りもする。我々と同じ生き物なのだ。」

ミランダはすかさずファーディナンドに惚れ込む。

「あれは神のお姿です。だって、あれほど美しく気高いものを私は未だ見たことがない。」

しめしめという顔をしてプロスペローは言う。

「よいよい、うまくいった。命じた通りやってくれたなアリエル。
 私の妖精よ。いいぞ!褒美として二日以内に自由の身にしてやる。」

プロスペローの復讐劇のいわば「第2段階」ともいえる二人の恋。
アリエルの美しい歌によってそれは成功します。
今日はここまでお稽古しました。
クリスティーナさんは、このシーンのあまりの美しさに、その場にいた全ての人にキスして
回りました。
「私の人生でもこれほど美しい演出をみたことがないわ!」
ファーディナンド、プロスペロー、ミランダ、アリエル、そして僕。笑
みんなクリスティーナさんの熱い抱擁を受けました。(^o^)
でも、明日から日本にかえらなくては…。
とてもいいところだったのに!
2週間もの間留守にして、またついていけるか心配だなぁ。
でも、帰ったら伊藤楽器のコンサート。
ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番の3楽章を伊藤楽器自慢のエレクトーンの生徒さんを集
めてご一緒させて頂きます。
エレクトーンのオーケストラ、初めての経験ですが、
リハーサルをやった感じではかなり良かったです。プロオケ顔負け!?
その他には次のCDのマスタリングや所沢でのコンサートもあります。

さぁ、12時間のフライト、何しようかな…。
って、作曲しなきゃ!笑

2007.09.12

この怪物、凶暴につき。〜キャリバン〜

妖精アリエルは、少女のような少年のような…
両性を感じさせる存在。
でも、ときおり凄く女性になる。
アリエルは、「本当にご主人様は私を愛しているのか」それが気になっている。
子供だった少女が、少しみないうちに大人になっていてドキッとする瞬間です。

さて、物語は動き始めます。
真実の話をしているうちに眠ってしまったミランダを起こして、
ファーディナンド王子と引き合わせます。
二人を恋におとすためです。
その前に、家の雑用やその他奴隷として使うために、ある「怪物」を呼びます。
その名は「キャリバン」。
プロスペローが流されてくる前からこの島に住み着いていて、悪魔と魔女の間の子であり、
悪態という悪態の全てをプロスペローについてきます。

その醜い悪魔とプロスペローのやりとりを昨日の夜のお稽古でやりました。

「おい、怪物、起きろ。起きろ!さっさと起きろ!!」
何度も何度も眠っているキャリバンを蹴るプロスペロー。
痛がりながらも、悔しがりながらもプロスペローを怖がるキャリバン。
「服を脱げ。それから薪を持ってこい。はやくしろ。」
キャリバンが被っていた毛布を、汚い物を掴むように摘んで投げるプロスペロー。
怖がりながらも抵抗するキャリバン。
「俺はこれから食事なんだ。お前、いくら魔力が強いからってバカにしやがって。
この島はもともと俺のものだったんだ。俺が母親から譲り受けたものだった。
それを後からきたお前が横取りしやがった。ちくしょう。」
静かに近寄ってくるプロスペロー。
「言ったな怪物。また罰を与えるぞ。私の下僕の鬼たちを使って、めいいっぱいお前を痛め
つけてやる。精を出して夜中つねってもらうぞ。その身体は蜂に刺される以上に痛み、
その悲鳴はどんな悪魔でも恐れるようなものになるだろうな。」
キャリバン、恐れおののく。
「来たばかりの頃はお前も優しかった。言葉を教えてくれたし、食事もさせてくれた。
だから俺だってお前達にこの島の事を全て教えてやった。…でも今は奴隷だ。
この野郎!この島の全ての呪いと毒がお前達に降りかかればいいんだ!」
これを聞いてプロスペローの視線が遠くなる。
そして呟くように言う。
「お前は一体私の娘に何をした?
             うん?何をした?
                 何をした?
                  何をした?
                   何をした?
                    何をした?
                     何をした?           」

ただひたすら悪夢を振り払うかの様に、呪文を唱えるかのように繰り返すプロスペロー。
段々狂気的になってくる。そして、一瞬間があって、

    「お前は私の娘を犯そうとしたじゃないか!!!!」

と叫ぶ。
それを聞いてキャリバンは、

    「おーほー、おーほ(笑。とことんやっときゃよかったな!
      そうすりゃこの島をキャリバンっ子だらけに出来たのにな!」

と、いうようなシーンでした。
もちろん、「!!」の書いてある台詞は、もうブログでは絶対表現できないくらいの迫力。
この世で何度か聞いたことがあるかないかくらい大きな声です。
それにしても、プロスペロー元ミラノ大公。
彼は不思議な人物だ。
完璧主義であり、サディスティックであり、紳士的であり、そして温かい父親でもある。
色々な面を持っている男です。
それに対してキャリバン。
こいつは悪いやつです。
出てきたばかりのシーンでは、あまりに粗末に扱われているので一見可哀想に見えますが、
「とことんやっときゃよかったな!」というところで、彼の本性が解ります。

さすがシェイクスピア。
無駄のないキャラ設定ですね。
出てくる人出てくるキャラ、全て「次はどんなキャラがでてくるんだろう?」と、
楽しみになってしまいます。
でも、このシーンはあまりに張り詰めたやりとりなので、音楽の入る隙がありません。
昨日の夜のお稽古では、殆ど出番なし。笑
おかげでただの客になれました…。(@_@;)v

明日から日本です。
約1週間。
こっちにまた戻ってくるまでに、
やり残したことがないように無駄のない時間を過ごさなきゃな。
着々とCDの方も作成が進んでいるので、そちらもお楽しみにしておいて下さいね!

2007.09.11

なぐさめる

元ミラノ大公のプロスペローは、愛娘ミランダに自分達がどうして地位を奪われ、どうして
この島に流されてきたのかを話す。
自分が国民に支持されていた大公だったから命までは奪えなかったこと、ゴンザーロという
現ミラノ大公の顧問官の男が、自分達父娘を思って命を助けてくれた事。
「お父様、聞くだけで涙が溢れてきます。
     幼き私は、大海の上でどれだけ邪魔な存在だった事でしょうか…。」
というミランダの意見に対しプロスペローは、
「いやそれは違う。ボロボロな船で大海の上を行くという過酷な状況だからこそ、
お前が必要だったのだ。お前の純粋な笑顔は、どんな試練をも忘れさせてくれた。」
という。

全てを話し終わってからミランダを静かに眠りにつかせる。
そして、召使いの妖精「アリエル」を呼ぶ。
「おい、ここへ来い。アリエル、早くしろ。ここへ来い!」
空気の中からふっと現れるアリエル。
「はい、ご主人様。ご用でしょうか…」
色々と次なる復讐の手立てを伝えるプロスペロー。
それを聞いてアリエルは不満そうにする。
「まだそんなに私をこき使うのですか?それなら、あの約束はどうなるのですか?
ご主人様は、私が見事に言いつけを守って見せたなら、
              丸1年は早く自由にしてくれるとおっしゃりました。
       不平不満も言わず、嘘も言わず、しっかりやってきたじゃあないですか…」

「ん?何か不満なのか?  …そうか。お前は私がお前にしてあげた事を忘れたのだな。
私がこの島に着いたとき、お前はあの忌々しい魔女の下僕だった。
しかし、お前は妖精で繊細なために悪事をする事やあの魔女の考えることへの反感から、
仕事を幾度となく失敗していた。
その罰として、お前は木の幹の中に閉じこめられて12年ものの間叫び続けた。
その間にあの魔女は死んでしまい、お前を助けられる者は誰一人いなくなった。」

ここでアリエルを不適な笑いでじっと見つめるプロスペロー。
少しずつ少しずつアリエルに近づいてゆく。

「…また、私がお前を木の幹に閉じ込めてやろうか?
    クゥウゥゥウゥゥゥウウゥッッゥゥ
…また、こんな苦しいわめき声を出したいのか?」

怯えるアリエル。
ぶるぶると小刻みに震え出す。
耐えられないくらいの強い視線と間。

「…。…。…。」

「お前にはいつも身の上話をしなくてはいけないな!!
  また死ぬ思いをするのが嫌ならば、早く、そして優雅に私の言いつけを守るのだ!!」

気が狂ったかのように怒鳴りつけるプロスペロー。
泣きわめく可哀想なアリエル。

「わかりました。わかりました…。」

素直に従うと、プロスペローは元の紳士な男に戻る。

「それでいい。ちゃんと言うことを聞けば、この復讐が終わったとき、お前は自由だ。」

今まで泣いていたのが嘘のように嬉しがるアリエル。

「ほんとですか!?それでこそご主人様だ!!」


アリエルはいたずらでかわいい子供のような妖精。
その力と言えば、大天使の1人のように強いけれど、性格はいたずらで素直な子供のよう。
そんな「ギャップ」に、つい観てると微笑んでしまうような存在です。
だからこそ、あの「泣き叫ぶ」シーンはショッキング。
可哀想としか言いようのないシチュエーションです。
そこに音楽が必要。
「死ぬ思いをしたアリエルを、音楽が救ってあげるのです。
            …そう。慰めると言ってもいいかもしれないわ。」
クリスティーナさんが僕に要望を告げる。
「でもね、この劇は、全てが2面性を持っているのよ。キャラクターから物語り全体まで、
全てが。このシーンも、ただ悲しいだけじゃなく、プロスペローがアリエルに思い出させた
『死』によって、アリエルには『パニック』が訪れたわ。だから、パニックに陥って、世界
が終わってしまうかのように大変な思いと、涙によって流されてゆく悲しみとが、うまく
共存できないといけないの。信也、あなたなら出来るわね。」

そう言われて、作曲してピアノで劇に音楽をつけるまでの時間の猶予は、たったの1分。
1分もないかもしれないな。
すぐさままたリハーサルに入る。
次同じところを演技するときには、僕の音楽は大体出来上がっていなくてはならない。
「産みの苦しみ」を味わっている暇すらない。
でも、僕の頭の中で、時間がないという危機感とプレッシャーとが、
 上手くバランスを取っています。

しかし、このプロスペローという男。
異常なまでの執念深さ。
大公だっただけあって、任務をやり遂げるという事への執着がすごい。
サディスティックなまでの時よりみせる性格。
しかし、そこには列記とした「父親」の温かさもある。
彼もまた2面性を持っているのだろう。
世界中でこのプロスペローという男には論議がされている。
「彼はやはり紳士だ」
  というのと
「彼はただの傲慢な男だ」
  というの。
本当に、いよいよそのどちらかが分からなくなってきた。
長年の復讐を成就するためならば、あの純粋でかわいいアリエルにも、
                        あんな酷い仕打ちが出来る男だ。
それだけ強い怒りだと言うことか…。
皆さんはどう思われるでしょう。
いくら優しい父親でも、あのアリエルへの脅し方を見てしまったら…

2007.09.10

復讐の始まりです

ミラノ大公一行のパニックを引き起こすために「嵐」を引き起こしたプロスペロー元大公。
「期は満たした」とばかりに、娘ミランダに事実を話し始める。
実の弟の策略により、自分たちがミラノを追い出されたこと、
そして、命からがら今自分達がいる無人島に辿り着いたこと。

今日は、その「父娘の真実の会話」をお稽古しました。
思い切って真実を告白するプロスペロー。
それを、眠気を振り払って真剣に聞くミランダ。
二人の会話は永遠と続きます。
その途中、「地獄に落とされたようなショッキングな音楽」を作って欲しいという事で、
今日はそれを一生懸命作曲しています。

さぁ、復讐の始まりです。

2007.09.09

ニホンのブンカ

今日は日曜日。お稽古はお休みです。
今夜、今度僕たちの「テンペスト」をする劇場で、
演出家のクリスティーナさんとオペラを観てきます。
モーツァルトらしいです。
楽しみだなぁ。

ところで、妖精アリエルの歌ですが、殆ど完成しました。
こちらでの本番ということもあって、なんと、「日本語」の歌詞にしました!
きっと、
漂うような日本語の歌詞に、こちらの方たちは「妖精の言葉」を聞き取る事でしょう。
和声にも少し日本テイストを入れようと思っていて、完成が楽しみです。
美しく漂うように、そして、どこか恐ろしく物悲しいところがある。
日本の文化には、そんな魅力があると思います。
そして、嵐といえば、嵐の前の静けさ。
嵐の直前が静かだからこそ、嵐の暴れ具合がよく解ります。
そんな「不気味な静けさ」も、日本の文化にはある気がしました…。

2007.09.08

人生の選択

人生は選択肢の連続だ。

時差ボケか、ハードなお稽古のせいか、今までの人生でも数える程しかしたことのない
「昼寝」をしてしまった。
昼寝といっても、もう18時を過ぎていたから、「夕寝」といったところか。
ただでさえあまり長く眠れる体質じゃないから、当然22時頃には目がぱっちりと覚めて、
長い夜をどう過ごすかに悩まされることとなった。
日本のニュースをネットで読んでみたり、作曲の和声進行を考えてみたり、
友人にメールしてみたり、洋服をたたんでみたり、散歩してみたり、、
そんな風に夜の時間を潰して、やっと朝を迎えられた。
皆の目覚めを祝っているかのような朝日のファンファーレ。
窓をそっとあけてみると、河の方から新鮮な空気が流れ込んできた。
闇夜が嘘のように感じ、土曜の聖なる朝が来たのだと実感する。
5感が蘇ってくると、お腹がすいてきた。
さて、何を食べようか。
湖の畔で少し早いお茶をしながら、ゆっくり考えるとしよう。
そうと決まると、なぜだか心の中が忙しくなる。
早くシャワーに入って、支度しなきゃ、せっかくの「早いお茶」が出来なくなる。
土曜なんだから、少しはゆっくりすればいいのに…。
自分に苦笑いだ。

シャワーから出て、開けっ放しにしていた窓から流れ込む朝の新鮮な空気を肌で感じ、
まずは、何を着ていこうか選択する。

>コートは、白か黒か…。  よし、今日は黒にしよう。
>お次は香水とサングラス…。  うーん、爽やかな香りにレイバンのサングラスだな。

そして、アパートから出てきて、早速迷う。

>どの道を行こうか、河沿い?中央…?  よし、帰りに河沿いを歩くから今は中央だ。
>サングラスをかけようか、それとも爽やかな朝日を眩しく受け止めようか…。
               今日は少し眩しくても、自然な視力で朝日を感じよう!

何とも贅沢な選択肢ばかりだ。
人生の極上のスパイス。それは素敵な選択肢だと思う。
ただ生きているのではなくて、自分が自分の意志によって「選択」するという美しさ。
「人間は考える葦である」「我、思うゆえに我あり」
両方ともその通りだと思った。
葦のように、風が吹いただけでも死んでしまうくらい弱い生き物、人間。
でも、考えることで強く生き抜く事が出来る。
ただ生まれただけじゃなくて、自分が自分だと認識する事によって、初めて生まれる人間。
プライドや意地も、必要かもしれないな。
どんなに格好悪くても、どんなに迷惑でも、自己中な人間がちょっとかわいく見えてきた。
「自分を主張できない人より、自己中くらいの方が、かわいいかもな。」
そんな事を歩きながら呟いてみる。
僕の呟いたのが「挨拶」に思えたのか、
すれ違ったおじいちゃんが、優しい笑顔を見せながら「ハロー」と言ってくれた。
おじいちゃんとおばあちゃん。
二人とも80歳近くいってるだろうか、仲良く手をつないで朝の散歩を楽しんでいる。
おじいちゃんからは、すれ違ったとき柑橘系の甘酸っぱいコロンの香りがした。
ジョンレノンのようなサングラスをかけて紳士帽を深くかぶって、格好いいおじいちゃん。
僕もあんなおじいちゃんになりたいなぁ。

…と、先方を見てみると、朝市が開かれている。
まだ朝なのに、すごい人だ。
これが東京なら、間違いなく人混みはさける。
でも、、、ここでなら何のストレスにもならない。
よし、おもいきってあの人混みに飛び込むぞ!
朝市には様々な品物があった。
右に左に、首をくるくる回しながら、自分が毛繕いをする白鳥になった気分。

>右にはチョコレート屋、左にはチーズ屋…。   うーん、チーズかな!

珍しいチーズがたくさん並んでいた。
じっと見ていると、お店のお姉さんが一切れ食べさせてくれた。
なんてまろやかな味だろう。
朝の新鮮な空気との組み合わせは、
朝食のクロワッサンとエスプレッソの組み合わせを勝った。
「とてもいい味だ!」と言ったら、嬉しそうな顔をして次々に色々な味を試させてくれた。
結局7枚もただで食べさせてくれた。

>しばらくこの味を口に含んでおこうか、それともお茶しにいこうか…。

僕は、結局お茶するのをやめて、湖の白鳥をしばらく眺めていることにした。
口の中にはチーズの香りがいっぱい。
7種類食べたチーズの、どの味をフォーカスしようかを考えてるだけで幸せになった。
湖の静かな風を感じながら、目を瞑ってその音を感じてみる。
そういえば、神童のワオも、こんな事してたっけ。
風が体中を巡っているように感じる。
ふと、さっきのおじいちゃんの事を思い出してみた。
生まれてから今までの人生、あのおじいちゃんにはどんな出来事があっただろう。
色々な苦しみ、色々な喜びがあっただろうな。
彼も、今の僕と同じく、人生の選択を幾度となくしてきたに違いない。
ベートーヴェンのように、
「死んでしまおうか」と思うほどの辛い出来事もあったかもしれない。
そして、その考えを覆す程の喜びも感じたかもしれない。
もしかしたら、もっと平凡な人生だったかな?
どちらにしても、彼は、「生きる」という選択肢をずっとしてきた。
そんな彼の人生で、一瞬だけど、ほんの一瞬だけど、僕はすれ違う事が出来た。
そして、「ハロー」と笑いかけることも出来た。

…なんだか、とても暖かい気持ちになってきた。
うん、今のこの気持ち、美しい音楽を体内に取り込んで、その温もりに浸っている時の感覚
と同じだ。
この気持ちなら、どんな悪事でも抱きしめる事が出来そう。
宮本武蔵が言っていた「水の心」とはこんな状態のことかもしれないな。

気持ちよくなって、そろそろ動き出したくなった。
そっと目を開いてみる。
目の前に広がる湖。
ゆっくりと深呼吸して、さっきより高く上がった太陽を見てみる。
眩しい。すごく眩しい。
でも、気持ちいい。
胸元でサングラスが反射している。
「そうだ。僕はいつも心の目にまでサングラスをかけてしまっているな。」
そう感じた。
どんな形の器にも適応する柔らかい水。
そんな心をいつも持っていたい。
そして、心のサングラスを胸元にかけて、美しい空気の温もりを感じながら、
自分の良心と、自分の考えに背かない、「美しい人生の選択」をしていきたい。

ピアノよりも大切なもの。
自分の命より大切なもの。
愛する人、愛する音。
人生は選択肢の連続だ。
そのどれもが、自分次第で輝く。
そこには間違った答えなんかない。
迷ったって、困ったっていい。
それが、僕らの純粋な考えであれば。
それが、僕らの生きている証拠となれば。
人間は、考えているから美しいんだ。
あなたは、考えているから、そこにいる。

少しクサすぎるぞ、僕。
これじゃあまた「ナルシスト」呼ばわりだな。
はにかむように自分を鼻で笑って、僕は勢いよく湖から歩き出した。

      「さぁ、朝食は何を食べよう…?」

そう。
いつまでも僕の「選択肢」は終わらない。

>そろそろチーズも口からいなくなったし、お茶しに行こうか?それとも…?

湖を後にするとき、ふと、白鳥が、どっちに泳いで行こうか一瞬迷っているようにみえた。
「お前も、迷ってるのか」
もう一度、今度は白鳥に、はにかんでみるのだった。

DIARY〜真夜中の独白〜

なかなか寝付けない夜を利用して、少しだけ日本の事を考えてみる。
もうすぐ秋を実感し始める頃だろうか。
僕は、秋になると、すぐハローウィンとクリスマスが待ちきれなくなる。
ハローウィンにはいつも「ディズニーランド行きたいなー」って思う。
クリスマスにはいつも「表参道行きたいなー」って思う。
ホーンテッドマンションや表参道のキラキラしたライティングが僕は大好きだ。
でも、あの光って結構電力の無駄遣いって言われてる。
資源の無駄遣いは、問題だなぁ。
ブッシュさんがAPECをOPECって言い間違えたらしいけど、洒落になってません…。

ファイナルファンタジーⅦでは、世界の「油」に対する使いすぎ警告みたいなメッセージ性
を感じたけど、世界は正ににそんな話になってきてしまったなぁ。
地球のエネルギー…あぁ、僕も節約しなきゃね…。
ゲームついでに言うと、キングダムハーツ。このゲームは本当にお気に入り。
ディズニーとFFとのコラボなんですが、あの世界観はたまらなくメルヘン。笑
特に1を初めてやっときには、感動したな〜〜。
あんな世界に入り込んでみたーい!と思うのは僕だけでしょうか…。
あ、でも、ルツェルンにいるんだから、割と近いものがあるかな☆
ようし、明日からまた頑張るぞ〜、と思ったら、明日は土曜日で稽古お休みだ。
チューリッヒにでも行ってみるかなぁ〜。

…と、日本のことを考えるのはどこへやら。笑
まったく、僕の頭はどうなっているんだろう。
一つのものをじっと考えていられたことが、殆ど記憶にないな。
いつも脱線脱線の繰り返し。
まぁ、でも、13日にはまた日本に帰れるし、いっか。(^_^)b
それにしても、何度乗っても、パイロットに憧れるな〜。
子供の頃から、パイロットとお医者さんに死ぬほど憧れたからな〜。
後、あの成田の雰囲気、ほんとにいいな〜、何度行っても、あそこはいいな〜。
出逢いと別れが交差してる、不思議な空間です。
どの空港より、僕は成田が好きっ!
成田が好きだーーーーーー!!!

2007.09.07

ミュージック from  ヘヴン

「天国からの音楽なの。あなたには出来るわね。」

そういって、クリスティーナさんは僕に作曲を促した。
アリエルが、ファーディナンドというミラノの王子を助ける時の歌だ。

テンペストの主役はプロスペローという初老の男。
彼は元ミラノ大公であり、魔法使いでもある。
しかし、実の弟の悪巧みによりその座を追われ、ついには娘と共に国を追放となる。
そのプロスペローが、実の弟を含む、
自分の後任のミラノ大公一行が乗る船を難破させるところから、この物語は始まる。
彼が魔法によって、テンペスト(嵐)を起こすのだ。
船の難破を目の前に、死ぬかもしれないという恐怖からパニックを起こす一行。
それをみて「復習の始まりだ」と確信するプロスペロー。
しかし、
プロスペローの目的は、自分の娘ミランダと、現ミラノ大公の王子ファーディナンドとを
結婚させて、自分がミラノに戻って権力を取り戻す事。
復習といっても、皆に死を与えようというのではない。
なので、冒頭の嵐では、誰一人死者はでない。
しかし、みんなバラバラになってしまう。

沖に流されて気を失っているファーディナンド。
気がつくと、独りだけ無人島のような島に漂着している。
そこで、自分以外の人間が全て死んでしまったと勘違いし、絶望の淵にたたされる。
それを、優しく慰めてくれるのが、プロスペローの手下であり聖なる妖精であるアリエル。

その時の、慰めの歌を、今日は作曲しました。
この歌で、父親の死や仲間の死を乗り越えるファーディナンド。
その勇ましい姿を見て一目惚れしてしまう自分の娘ミランダ。
やがて二人は恋仲に…。
と、これらはもちろんプロスペローの計画通り。
彼の復習劇の始まりなのです。
世界ではこのプロスペローのことを「傲慢」と批判したり、「賢者」と評したり、
その見解は色々です。
皆様にはプロスペローはどう映りますか?
今回の劇では、後者だと思います。
プロスペロー役の役者さんは、とても紳士で賢者のような雰囲気です。

さぁ、父親の死をも忘れさせるような、美しくも切ない歌を作らなくては。
「天国からの音楽なのよ。」
クリスティーナさんの言葉が僕の頭を駆けめぐる…

2007.09.06

愛おしいあなたへ

その霧の奥に隠れている密やかな吐息を、今度は僕のすぐ傍で感じさせておくれ。

…夜の暗がりから、段々と朝日が差し込んでくる。
霧が反射し、漆黒の闇は聖なる光の前に敗北しようとしている。
そして、あなたの陰は、遂に僕の足下まで伸びてきた。
そう、あなたに僕の手が届く時は近い。

もしこの手があなたの肩にかかったなら、僕はもう決して、この手を離さない。
今度こそ、僕のものにしてみせる。
あなたのその美しい姿は、湖に浮かぶ孤高な白鳥のよう。
あなたのその愛おしい声は、僕の耳をそっと撫でてゆく冷たい風のよう。
あぁ、どれだけ多くの夢を見ただろう。
それらの夢は、全てあなたの夢だ。

もし、あなたの腕の中で息が出来なくて死んでしまっても、僕は幸せだろう。
僕はこんなにあなたを欲しがっているのに、あなたはまだ僕のものにはならない。
後もう少し、もう少しであなたに手が届きそうだ。
あと少しだけ、手を伸ばしてみよう。
きっと、この手があなたを奪い去っていけると信じて。

さぁ、怖がらずに、さぁ。
僕の元に訪れておくれ。
きっと優しく奏でてあげるから。
そっと僕が勇気づけてあげるから。
エリアルのお歌。
僕に降りてきておくれ。

大丈夫だよ。
あなたのお歌の楽譜には、僕がこう注意書きしておくんだから。
           
              「秘密を話すように」 と。
          
スイスの湖のほとり、独り苦いエスプレッソを飲みながら、白鳥と一緒に作曲しています。
テンペストの狂乱を呼ぶ「エリアルのアリア」を書くには、
ここは少し幸福すぎる環境かもしれないな。
そろそろアパートへ帰って、孤独を感じながら、
本気で「あなた」を掴みにいくとしますか。
え?あなた?もちろん、それは、僕の中に眠る音楽の事です…

ルツェルンの白鳥

シェイクスピアの「テンペスト」は、
死を目の前にして「狂ってしまったんじゃないか」という程のパニックを起こしている状況から
始まります。
いきなり冒頭が「混乱」なのです。
今日は、その部分のお稽古をしました。
ドイツ語公演なので、僕には台詞を読み取る力はないのですが、
随時助監督さんが英語で訳してくれます。

今日の僕の出番は、冒頭に出てくるエリアルという妖精が幻想的に歌う曲を作曲する事。
そして、地獄に落とされたかの如く混乱する人々をよりいっそう駆り立てる音楽。
この二つでした。
まだ完全な形にはなっていないけれど、お稽古から役者さんたちが「本気」なので、
かなり緊張感があり、集中力も向上、その場でもかなり形になっていました。
あぁ、本当に幸せだ…。
ただただそう思いました。

ルツェルンには大きな美しい湖があります。
そこからかなり流れの激しい川が出ています。
その川沿いに僕が今住んでるアパートがありますが、川には白鳥がいて、とてもかわいい…
と思いきや、白鳥はすごく大きくてかなり威圧感あります。笑
先日みなとみらい大ホールで、山岡優子先生とサンサーンスの「動物の謝肉祭」を連弾させ
て頂きました。
その曲の中であの有名な「白鳥」という曲が出てきますが、僕は実は今までちゃんと白鳥を
観たことがなかったので、それはそれは細くて繊細な、そう、ちょうど妖精のような生き物
を想像して曲作りをしていました。
でも、山岡先生の白鳥があまりにドラマティックで情熱的なので、二人でよく練習の時に
ケンカになりました。笑
あんまり先生も折れないので、僕の中学の時からの恩師であり、山岡先生の親友でもある
加藤伸佳先生に助けを求め、「僕の白鳥で弾くように山岡先生に言って下さい」と裏工作
しました。笑
そのとき実際に加藤先生が山岡先生に言ってくれた言葉は…

「山岡先生の白鳥は、首が太いよ」

でした。笑
これには爆笑しました。
そこにいる3人とも、かなり爆笑。
それにしても、これ以上ない言い方だったなぁ〜。^^
そんな、「首の太い白鳥」ですが、実際の白鳥って、結構首がしっかりしてるんですね。
びっくりしました。
意外と、山岡先生の白鳥が正解だったのかもしれません。笑

湖や川にいる、美しい純白な白鳥を間近でみて、改めてそんな事を思いました。
でも、本当に美しい街です。ルツェルン。
本番の劇場も素晴らしい。
皆さんも是非、観に来て下さいね!(^^)/☆☆☆

2007.09.05

DIARY

スイスのチューリッヒ空港に着陸して、
そこから約1時間特急列車に揺られてルツェルンに到着しました。^^
12時間のフライトは、映画を観まくってあっというまでしたよ。
演出家のクリスティーナさんとも早速再会できて、
今さっき打ち合わせをして帰ってきたところです。
もう10度あるかないかの気温で、ちょっと肌寒いですが、
30度の世界から来た人にとっては「天国」です。
湖と山々に囲まれて、新鮮な空気に名物の時計屋さん…
なんだか、ヴァカンスのようです。笑
でも、明日からみっちりお稽古。
シェイクスピアの「テンペスト」ではかなり重要となってくる、
「妖精エリアルの歌」に、どうやら7人の子供たちのバックコーラスが付くみたいです。
これは、作曲のし甲斐があるなぁ。
今回は、ピアノ1本を基本にして、どこまで出来るかを試してみたいと思います。
オーケストラの迫力を上回り、ヴァイオリンやフルートより甘く、
チェロやコントラバスよりふくよかで、トランペットやトロンボーンより鋭い音楽を、
ピアノだけで再現してみせます!^^
長い間留守にしますが、僕のこと忘れないで下さいね。笑
さ〜て、そろそろ時差ボケるか。

2007.09.03

DIARY

ケンちゃんのユニクロCMがとても心落ち着く素敵なものでした。
うん、あんなデートしてみた〜い感じですね^^
世界陸上も終わりましたね。
リレーがとても感動しました。

そんな中、僕はスイスまで明日1日だけという事になりました。
明日は準備で忙しいだろうな〜。
僕のスイス行きへの激励をたくさん頂きました。
メールや手紙、絵や写真など、本当に多くの応援を頂きました。
これだけ色々な方に愛されているんだ、僕は絶対がんばれます。

僕は海外へ何度か出かけたことがありますが、今までの海外経験から、
僕にはある「こだわり」があります。
それは「サンダル」です。笑
これを忘れたら悲惨です。忘れた場合は絶対に現地調達。
しかも、ビーチサンダルと、普通に履き回れるサンダルを最低2つ以上。
部屋の中を靴で生活するのが嫌なこと、お風呂などの床がそれ程綺麗じゃない事が多い事。
それらを想定しています。
後は爪切りや万能ナイフなどは手荷物ではなく、トランクの方に入れておくこと。
(没収されちゃうからね)
最近では飲み物や整髪料などの「液体の入ったもの」も没収されちゃう事があるので注意。
そして、預ける荷物は20キロまでです。
モスクワ留学に行くとき、軽く70キロを超えていて、10万以上かかると言われました。
でも、僕の尊敬する「伯父さん」が、

「学生が勉強しようってのに、そんなに金とって何のつもりだ!!!!!!」

と成田空港に響き渡る程に怒鳴りつけてタダになりました…。笑
あのとき伯父さんがいてくれなかったら大変だったなぁ。
でも、本当は20キロまでだから、明後日はちゃんと守ります!^^
さぁ、皆様の愛を両手に、いっちょ、希望と夢の舞台を作りに行ってきますか!!