瞳を閉じて、僕は自分が世界のどこにいるかを考えてみる。
いや、考えるんじゃない、感じてみる。
それから、永遠に暗い宇宙に浮かぶ真っ青な地球を想像する。
その後、太陽系を抜けて、何もない暗闇の冷たい世界を想像する。
そして、死よりも何もない無の世界に辿り着く。
僕は、何でもない。
それでも、僕の心臓は今日も動いていて、僕の血液は僕の体内を駆け回っている。
ラッシュ時の首都高速のようだ。
僕の血管が首都高速だとしたら、あの忌々しい三宅坂ジャンクションはどこだろう?
瞳を開けて、左手の中指の付け根あたりにある血管を撫でてみる。
そして、軽く押してみる。
血管を押すと、血管は自らの意志であるかのように元通りになる。
僕は、何でもない存在だけど、昨日も、今日も、ちゃんと生きた。
明日は、どうだろう?
こないだ、僕が小学生時代を過ごした「小手指(コテサシ)」という町に行ってきた。
昔は長く感じた道が短くなってたし、高いと感じていた壁が低かった。
でも、通学路だった道や何でもない道路を何気なく歩いてみると、昔のままだった。
そこにはまだ僕の人生があった。
しっかりと、僕の人生はその町で続いているようだった。
中学の時に僕はその町から去った。
もう、今となっては中学生の頃なんて大昔に感じる。
26歳になろうとしている今日まで、随分長い道のりだった。
でも、そんな長い人生がたった一瞬かのように感じた。
少しだけ昼寝をして、ちょっと重めの夢を見ただけのように感じた。
「あれ?僕は何をやっていたんだっけ」
そんな感じだった。
町はそうやって僕を当たり前のように受け入れた。
街灯や昔からある飲食店と同じように、僕を古い友人としていつものように迎え入れてくれた。
その空気があまりにも自然だったので、僕は怖くなった。
本当は僕の人生なんてなかったんじゃないか、と心配になった。
小学生の時から今までの、あるはずのない思い出がこの町にあるかのようだった。
僕はそれをスラスラ言えそうで混乱した。
今、僕はどこにいるのだろう?
僕は本当にここにいるのだろうか?
混沌と暗闇の中で、僕は26歳になる。
でも、僕は幸せです。
ありがとう。







