寂しい旅 (清塚信也 OFFICIAL BLOG)

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2008.11.20

寂しい旅

今日僕は初めて山口宇部空港に降り立った。
羽田ほど大きくないし混んでもいないが、
エネルギーがぶつかり合っていて活気があるように感じた。
空港という所は決まってそうだ。
広さや人数などに関係なく、空気に動きがある。
そして、多くの出逢いや別れがあるからか、
何かそこには「切なさ」みたいなものも感じられる。
僕はそういう空港の雰囲気が大好きだ。

空港から新山口駅まではバスを使うと便利だと言われたので、
空港のインフォメーションのお姉さんの言うとおりにした。
新山口に着くと、JRで山口駅まで行く必要がある事に気付いたので、
僕は迷わず普通列車に乗り込んだ。
特急と普通とあったのだが、新山口から山口に行く普通列車は、とても風情があった。
こんな風に言うと怒られるかもしれないが、
なんというか、すごく「田舎」っぽかった。
僕は旅好きだ。
それもひとり旅。
ひとり旅を美しく演出してくれるのは、土地柄がしっかりと出ている風情だ。
僕は、2両しかない普通列車に乗り込み、列車の出発を立ちながら待った。

列車は比較的空いていたから座る事も出来たのだが、
僕は列車で座るのが好きではないのでひたすら立っていた。
しかし、2駅も行くと学生たちが溢れるかのように入ってきたので、
立っていて良かったと思った。
学生たちは修学旅行かのように車内で楽しそうにしていた。
僕はそれを見ていてなんだかとても幸せだった。
うるさいし、決してマナーがあるとは言えないのだが、
それでも若い人たちが元気にいる事が愛おしかった。

列車は30分もすると山口に着いた。
山口に着くと、もの凄い冷気が押し寄せた。
想像の範囲を明らかに超えていた寒さに、僕は少し滅入った。
でも、この「滅入り」が良いのだ。
これこそが旅の醍醐味だ。
不安、緊張、そういったストレスの親戚たちが旅の隠し味としてスパイスを利かせてくれる。
僕はタクシーの運転手にホテルの名を告げた。
すると運転手は「すぐそこだから歩いたら?」と言った。
そうか、すぐそこなら自分の足で歩きたい。

「すぐそこ」というのはどういう意味だろうか?
僕にとってのすぐそことは、1ブロックくらい先の事だ。
でも、もう信号2つ分歩いていて、5,6分は歩いた。
僕は1人で歩くときは割に速い速度で歩くので、もう結構な距離を歩いたと思う。
勿論、まだ5,6分の範囲なのだが、
これを「すぐそこ」と言えるかどうかは疑問だった。
タクシーに乗ってもいい距離じゃないか。
相変わらず冷たい風が僕の体にぶつかっては離れてゆく。
途中で古い(半分くらいは店の灯りが消えている)商店街を横切った。
結局ホテルは7分歩いたくらいの所にあった。
確かに、タクシーに乗るには…

人の感覚というのは分からない。
価値観も分からない。

僕は大好き、ある人は大嫌い。
僕は正義だと思う、ある人には極悪に感じる。
でも、僕が愛していて相手も愛してくれる場合だってある。
「人それぞれ」
この言葉が、とてもネガティブに感じる時もあれば、愛しく感じる時もある。
どちらにしろ、僕はそういった感覚をゆっくり感じて人生を過ごしたい。
その一つ一つを情報として自分の生命や魂に刻み込みたい。

僕は、とにかく、寂しい旅が大好きだ。