ライオンの手紙2
その次の日はライオンは僕の夢に出てこなかった。
その次の日もライオンは僕の夢には出てこなかった。
もう出てこなくなったのかと、少しだけ僕は残念に思った。
ライオンに会いたいというよりかは、彼の話の続きが知りたかったのだ。
そして次の日の夢のこと、、、
ライオンから手紙が届いた。
僕は急いで封を切る。
前略
突然あなたさまの夢に登場してしまい、失礼しました。
そして、何も言わずに夢に出なくなった事も、申し訳ないと思っております。
何だかやっぱり弱音を吐くのが辛くて、誠に勝手にも、もうあなたさまの夢には登場すまいと決心していたのですが、あなたさまがわたしの話の続きを聞きたいと強く思ってくれたのが伝わったので、やはり最後までお話しようと思いました。
いつも身勝手な登場の仕方で本当にごめんなさい。
ここでライオンの手紙は1ページ目の余白を沢山残してページをめくるようになっていた。
わたしは、ライオンではないのです。
いえ、正確に言うと、ライオンという動物はこの世にはいないのです。
あれは、わたし達の一種のカモフラージュで、本当は化けの皮を剥ぐと、とても弱々しいちっちゃな存在なのです。
勿論、本当に体の皮が剥がれてその下からちっちゃなミニチュアライオンが飛び出てくるというような、そんな安っぽい事じゃないです。
あなたさまなら、そこら辺を理解してくれますよね?
話を戻します。
でも、世間ではわたし達の事をひゃくじゅ…ひゃくじ…ひゃく…と呼びます。
(どうやらひゃくじゅうの王というのが書けなかったらしい)
わたし達は、実は、他の方々を喜ばせたりする事で生きながらえます。
実は、エサなんて必要なくて、誰かがどこかで喜ぶ気持ちがわたし達のご飯なのです。
だから、みんなを喜ばせたい。
そして、わたし達が人様に出来る事と言えば、勇ましい姿を見せつける事なのです。
一見矛盾してますが、そうなのです。
これは長年わたし達の先祖が研究し続け出した答えなのです。
ライオンという、創られた概念に沿って生き続ける事が、皆様への期待に応えるという事なのです。
でも、わたしはライオンの中でも弱々しい存在で、この現実に耐えられなくなってしまいました。
自分を偽る事に疲れ果てたのです。
だから、本当の事を言いたくて、友達を探していたのです。
本当の事を話したら、少しは気が晴れるかと思って…
それで、あなたさまの夢に登場したというわけです。
結局、直接お話しする勇気は無かったですが、こうやってあなたさまにお話を聞いてもらえて、よかったです。
これでまた明日から頑張れます。
本当にありがとうございました。
それ以来一度もライオンは夢に現れなかった。
本当は自分が弱いこと、ライオンですらないこと、それを言えた彼の勇気にとりあえずは拍手を送りたい。
ライオンの手紙には、続きがあった。
続きは、別の紙に書いてあった。
つづく