清塚信也 OFFICIAL BLOG: DIARY

DIARY

2007.09.30

人の誇り

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孤高の鳥、白鳥です。
夕ご飯を食べに行く途中、ちょっと考え事をして湖の畔に立ち止まると、
向こうからスっと近寄ってきました。
見れば見るほど不思議な鳥です。
動物は危険な土地に生きていると、その土地柄の色に変色していくといいます。
ジャングルなどで生活する動物は兵隊さんの迷彩のようにカモフラージュされています。
色の主張が強い動物は「危険色」という意味合いであり、大体毒や武器を持っています。
しかし、この白鳥たちは、夜の漆黒の中に「純白」です。
その平和な主張が、なんとも誇り高さを感じさせます。
どんなときも誇りを忘れない。
僕も、そんな音楽家になりたいな。

バーンスタインは、危険な戦地に赴いてコンサートを開きました。
周りからの大反対も相手にせず、自分の音楽家としての誇りを最後まで貫いた。
怖いと思っても、不安を感じても、「ここで引き下がれない」という誇りを捨てないこと。
それが僕の一つの理想です。

漆黒の湖に浮かぶ、孤高な白鳥のように、僕は生きてゆきたい。
本当は勇気もなくて弱くて、独りでは何も出来ないくせに、

   「僕には守るべきものがあるんだ」

と強く言える芸術家になりたいです。
妥協せずに思いやりを持って、美しいものを愛し悪を憎む。
そして、誇りを忘れない。
これが芸術家なのではないでしょうか。
いや、これが、人間なのではないのでしょうか。

今頃、湖では密かに白鳥がくしゃみをしているに違いありません。笑

2007.09.29

木漏れ日の道

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写真は僕がいつもお稽古場に通うために通る道です。
今日は天気がとてもよくて、山々がよく見えました。
土曜日ということでお稽古はお昼まで。
今僕は遅いお昼ご飯と共にビールを飲んでいます。
木漏れ日の下を通ってアパートへと帰るとき、
     「お疲れ様でした」
って自然から言われてるようで、とても癒されます。
やっぱり、自然は大切だなー。
みんなで共存できるように、たくさん努力していきたいと思いました。

アリエルの兄姉たち

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今日はアリエルの分身のような存在である兄姉たちとのお稽古をしてきました。
アリエルが呼べばどこからともなく現れて、アリエルの仕事を助けます。
アリエルが歌えば彼らも歌い、アリエルが踊れば彼らも踊ります。
ちょっと練習が早く終わったので、
演出のクリスティーナさんとアシスタントのアニーナさんを入れて、
みんなで伝言ゲーム大会です。
「お兄ちゃんも入って!」
と強引に誘われて入ったものの、ドイツ語が全く分からず、
伝言ゲームどころではなかった僕です。笑
でも、ちゃんと英語でも日本語でもやってくれました!

僕は子供が大好きです。
あの笑顔、いたずらな表情、どこをとっても「歩く未来」です。
彼らの存在自体が、未来であり、希望なのです。
だから、彼らをみていると本当に心が落ち着くし、和む。
どこの世界でも同じ表情をして、同じようにはしゃぎまわる。
うるさすぎて怒られてちょっと凹んだり、本当にかわいい存在ですね。
彼らには一カ所だけコーラスしてもらいます。
不思議な妖精のコーラスです。
みんな、ちゃんと歌ってね。^^

2007.09.28

人生(みち)

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スイスでの生活がまた始まりました。
これから一ヶ月間、またテンペストづけです。笑
昨日報告があったのですが、ルツェルン劇場で僕のリサイタルを開いてくれるそうです。
「内容は自由。あなたの芸術性を爆発させて!」
とクリスティーナさんから言われました。笑
写真は僕の住んでいるアパートから見える風景です。
皆様にもこの美味しい空気と、美しい大地を少しでも味わってもらえるように、
心して曲を残してゆきたいと思います。

スイスのチューリッヒ空港に着くとき、素敵なアルプスの山々が見えました。
「旅する事と、人生を生きる事は本当に似ているな。」
そう思いました。
人は山あり谷あり、色々な険しい道を辿ります。
歩いている途中、8割、いや、9割は苦しいことかもしれません。
「どうして歩かなきゃいけないのだろう?」
時にはそう思うほど辛いこともあるかもしれません。
でも、色々な障害を越えて、山の頂上まで登ったとき、人は何と思うのでしょうか。
そこに辿り着いたとき、「あぁ、人生って嫌な事ばかりだな」って思うのでしょうか。
僕はそう思いません。
どんなに辛いことばかりでも、苦しいことばかりでも、きっと頂上ではこう言えます。

   「あぁ、なんて人生とは美しいものなんだろう」

僕たちが険しい人生の道を歩いているとき、時にやめたくなるほど苦しい思いをします。
でも、歩みを止めなければ、きっと最後には思うはずです。
「僕たちは美しかった」と。

そんなことを考えながら、飛行機は得意げに滑走路に着陸してゆきました。
さて、スイスでは何が待ち受けているのだろう。
ワクワクとドキドキを両手に、今日も僕はどこかでピアノを弾いています。

2007.09.26

本当に大切な物

小学2年生のときから、思えばもう15年以上も吉田翔平とは一緒に音楽仲間をやっています。
初めは僕のことを「野球少年!」とバカにして笑、途中はお互い楽器の違いからちょっと距離が
離れてしまったこともありました。
でも、のだめカンタービレで彼はのだめオケに参加していて、僕は千秋のピアノを。
彼がオケに参加していることを僕は知らなかったので、現場での偶然の再会をとても嬉しく思いました。
その再会から、頻繁に共演出来ることになりました。
本当に、人生というのは不思議な縁があります。

今日はいつもお世話になっているデザイナーの芦田先生のお宅へ行ってきました。
とても素敵なディナーで、素敵な人たちがお集まりになられていました。
その席で芦田先生は、こうおっしゃっていました。

「人生、長く生きれば生きるほど、大切なのはお金や物じゃなくて人との縁だと言うことが
 分かる。」

…なんて素敵なお言葉だろうと思いました。
僕が言えば単純かもしれないですけれど、先生が言えば重みのあるお言葉です。
お金や物じゃなくて、人との縁。
「そんなの分かってる!当たり前!」
とおっしゃる方もいらっしゃるかもしれないですが、本当に理解していますか?
本当に人との縁の方が大切だと思えますか?優先できますか?
いつも同じようにそう思ってられるのは難しい事だと思います。

明日から僕はまたスイスです。
「何十年と知ってるやつでも友達にすらなれない場合がある。
 でも、一日会っただけでずっと親友だったかのように親しくなれる人もいる。」
芦田先生のお言葉通り、「親友」になれる人を見逃さないために、心の目でよ〜く見てみよ
うと思います。

「俳優に必要なものってなんでしょう?」
という僕の問いに浅野和之さんは
「心を開くことだよ」とおっしゃいました。

「こんな早くに起きて大丈夫なの?」
というおばちゃんの問いに寅さんは
「人間ぼやぼやしてるとすぐ骸骨になっちゃうんだよ」とおっしゃっていました。

生き急ぐわけではないけれど、でも、人生で一番大切な「人」を見逃してはもったいない。
僕のピアノも、誰かの「大切」になるように、頑張りたいと思います。
いつも僕のことを応援してくれてる皆様、本当にありがとうございます。
僕はいつも愛に守られています。
ありがとう。

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