清塚信也 OFFICIAL BLOG: DIARY

DIARY

2007.09.14

順序なんかぶっ壊せ!!

さぁ、蒸し暑い日本に到着致しました。
渋滞に湿気、人混みetc...
でも、どうしてこんな東京が好きなのかなぁ。
やっぱり、故郷なんだな。^^
ファイナルファンタジーはネットで買っておきました。^^v

TVは政治一色ですね。
安倍さん、残念でした。
でも、こうしてみると、小泉さんは本当に凄かったんですね。
影響力があった人物だ。
小泉さんは、それまでの政治家の「出世街道」を大きく変えて、
自分の周りをありきたりなエリートで固めたりしませんでした。
僕はその考えにはすごく勇気をもらったなぁ。

日本は何かと「順序」を気にする国です。
出世にしても、ピアニストになるにしても、何かと「順序」を気にします。
これでは、本当の力を見ないで、経歴にばかり目がいってしまう危険性があります。
僕も中学1年生の時に「ショパンの舟歌を弾きたい」と先生に言ったら、
「まだ早い」と否定されました。
それから、高校1年生の時に「ショパンコンクールに出たい」と言ったら、
「日本音コンまだ出てないからなぁ…」と渋られました。
何で曲やコンクールに「順序」があるのか、僕には未だに理解が出来ません。
もちろん、その人その人に合った「ペース」があるにしろ、誰にでもフィットする
「マニュアル」のようなものがあるのは納得いかない。
人生の取り扱い説明書のように型にはまったような考えを早くやめてほしいな。
特に、組織を動かす上の人間にこういう考えをする人がよくいる気がします。
…それではいけない。
僕は強く思います。

「自民党をぶっ壊す」

そう言い切った小泉さんの意志を、僕は受け継ぎたいな。
その曲をやるのが早いかどうか、やってみて決めればいいじゃないか。
それより、「あの時やってれば…」と後悔する事の方がよっぽど不幸じゃないですか。
僕も学校真面目に行かなかったり、先生の言うこときかなかったり、
人と違う順序で生きてきたので、かなりそれを色々な権力者からつつかれました。
それがコンプレックスで、出来る事も出来なくなった場合がありました。
要らない苦労、というのはこの世にないと信じていますが、
音楽を含める全ての芸術は、時間とタイミングとの勝負です。
どの時間のどのタイミングで練習しても
いつも同じように安定した結果が得られるとは限らないのです。
どういう心でどんな環境でやるか、そんな事がとても大切なのです。
一見我が儘に思えますが、でも、その微妙なタイミングによって、
その後何百年、何千年と人類の宝物として残る芸術が残るかもしれないのです。
そんな繊細な時に「順序」を気にして、それを後ろめたく思って、
出来る事も出来なくなってしまうような自体を引き起こしてしまって、
一体業界は何をしているのだろう?と不満です。

順序が全てではない。
人生にマニュアルが存在するわけじゃない。
少し人と違うからって、自分の存在を後ろめたく思わないで。
僕もそうだったけど、自分は自分なんだ。
自分が出来る事をすればそれでいい。
誰かにいじめられることもあるけれど、それを受け止めて、勇気にして歩き続けて。

うん。そう。
順序なんかぶっ壊せ!!

2007.09.13

二人の恋

キャリバンを魔法で痛めつけた後、プロスペローはミランダとファーディナンドを結ぶ魔法を
使います。
アリエルの歌で二人を恋におとそうと試みます。
そのアリエルの歌が日本語でやる歌です。

 おいで 黄色い砂浜に 
 手に手を取って お辞儀して 口づけを交わせば
 荒波も 静まりかえる

これが歌詞です。
その歌を聴いて、砂浜に独り漂着した王子ファーディナンドは生きる気力を取り戻します。
「あの音楽はどこから聴こえてくるのだろう?父上の難破を悲しんでいたら、
 甘い調べが聞こえてきて、僕の悲しみと海の怒りを和らげてくれた。」

さらに歌い続けるアリエル。

 水底深く父は眠る
 海の精鳴らすは 
 悲しみの 弔いの鐘

それを聞いてファーディナンドは力づく。
「あれは死んだ父を弔う歌だ。決して人間の歌声ではない。精霊か、神の歌だろう…。」

勇気を取り戻したファーディナンド。
その勇ましい姿をプロスペローはミランダに見せてあげます。
「ほら、あそこに何が見えるか言ってごらんなさい。」
ミランダは未だに父親のプロスペローと怪物の醜いキャリバン以外を見た事がない。
そんなミランダには、ファーディナンド王子が、それはそれは美しく見えただろう。

「あれは何?あれも精霊?本当に素晴らしい姿かたち。やっぱり精霊なのかしら?」

プロスペローは説明する。

「いや、あれは食べもすれば眠りもする。我々と同じ生き物なのだ。」

ミランダはすかさずファーディナンドに惚れ込む。

「あれは神のお姿です。だって、あれほど美しく気高いものを私は未だ見たことがない。」

しめしめという顔をしてプロスペローは言う。

「よいよい、うまくいった。命じた通りやってくれたなアリエル。
 私の妖精よ。いいぞ!褒美として二日以内に自由の身にしてやる。」

プロスペローの復讐劇のいわば「第2段階」ともいえる二人の恋。
アリエルの美しい歌によってそれは成功します。
今日はここまでお稽古しました。
クリスティーナさんは、このシーンのあまりの美しさに、その場にいた全ての人にキスして
回りました。
「私の人生でもこれほど美しい演出をみたことがないわ!」
ファーディナンド、プロスペロー、ミランダ、アリエル、そして僕。笑
みんなクリスティーナさんの熱い抱擁を受けました。(^o^)
でも、明日から日本にかえらなくては…。
とてもいいところだったのに!
2週間もの間留守にして、またついていけるか心配だなぁ。
でも、帰ったら伊藤楽器のコンサート。
ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番の3楽章を伊藤楽器自慢のエレクトーンの生徒さんを集
めてご一緒させて頂きます。
エレクトーンのオーケストラ、初めての経験ですが、
リハーサルをやった感じではかなり良かったです。プロオケ顔負け!?
その他には次のCDのマスタリングや所沢でのコンサートもあります。

さぁ、12時間のフライト、何しようかな…。
って、作曲しなきゃ!笑

2007.09.12

この怪物、凶暴につき。〜キャリバン〜

妖精アリエルは、少女のような少年のような…
両性を感じさせる存在。
でも、ときおり凄く女性になる。
アリエルは、「本当にご主人様は私を愛しているのか」それが気になっている。
子供だった少女が、少しみないうちに大人になっていてドキッとする瞬間です。

さて、物語は動き始めます。
真実の話をしているうちに眠ってしまったミランダを起こして、
ファーディナンド王子と引き合わせます。
二人を恋におとすためです。
その前に、家の雑用やその他奴隷として使うために、ある「怪物」を呼びます。
その名は「キャリバン」。
プロスペローが流されてくる前からこの島に住み着いていて、悪魔と魔女の間の子であり、
悪態という悪態の全てをプロスペローについてきます。

その醜い悪魔とプロスペローのやりとりを昨日の夜のお稽古でやりました。

「おい、怪物、起きろ。起きろ!さっさと起きろ!!」
何度も何度も眠っているキャリバンを蹴るプロスペロー。
痛がりながらも、悔しがりながらもプロスペローを怖がるキャリバン。
「服を脱げ。それから薪を持ってこい。はやくしろ。」
キャリバンが被っていた毛布を、汚い物を掴むように摘んで投げるプロスペロー。
怖がりながらも抵抗するキャリバン。
「俺はこれから食事なんだ。お前、いくら魔力が強いからってバカにしやがって。
この島はもともと俺のものだったんだ。俺が母親から譲り受けたものだった。
それを後からきたお前が横取りしやがった。ちくしょう。」
静かに近寄ってくるプロスペロー。
「言ったな怪物。また罰を与えるぞ。私の下僕の鬼たちを使って、めいいっぱいお前を痛め
つけてやる。精を出して夜中つねってもらうぞ。その身体は蜂に刺される以上に痛み、
その悲鳴はどんな悪魔でも恐れるようなものになるだろうな。」
キャリバン、恐れおののく。
「来たばかりの頃はお前も優しかった。言葉を教えてくれたし、食事もさせてくれた。
だから俺だってお前達にこの島の事を全て教えてやった。…でも今は奴隷だ。
この野郎!この島の全ての呪いと毒がお前達に降りかかればいいんだ!」
これを聞いてプロスペローの視線が遠くなる。
そして呟くように言う。
「お前は一体私の娘に何をした?
             うん?何をした?
                 何をした?
                  何をした?
                   何をした?
                    何をした?
                     何をした?           」

ただひたすら悪夢を振り払うかの様に、呪文を唱えるかのように繰り返すプロスペロー。
段々狂気的になってくる。そして、一瞬間があって、

    「お前は私の娘を犯そうとしたじゃないか!!!!」

と叫ぶ。
それを聞いてキャリバンは、

    「おーほー、おーほ(笑。とことんやっときゃよかったな!
      そうすりゃこの島をキャリバンっ子だらけに出来たのにな!」

と、いうようなシーンでした。
もちろん、「!!」の書いてある台詞は、もうブログでは絶対表現できないくらいの迫力。
この世で何度か聞いたことがあるかないかくらい大きな声です。
それにしても、プロスペロー元ミラノ大公。
彼は不思議な人物だ。
完璧主義であり、サディスティックであり、紳士的であり、そして温かい父親でもある。
色々な面を持っている男です。
それに対してキャリバン。
こいつは悪いやつです。
出てきたばかりのシーンでは、あまりに粗末に扱われているので一見可哀想に見えますが、
「とことんやっときゃよかったな!」というところで、彼の本性が解ります。

さすがシェイクスピア。
無駄のないキャラ設定ですね。
出てくる人出てくるキャラ、全て「次はどんなキャラがでてくるんだろう?」と、
楽しみになってしまいます。
でも、このシーンはあまりに張り詰めたやりとりなので、音楽の入る隙がありません。
昨日の夜のお稽古では、殆ど出番なし。笑
おかげでただの客になれました…。(@_@;)v

明日から日本です。
約1週間。
こっちにまた戻ってくるまでに、
やり残したことがないように無駄のない時間を過ごさなきゃな。
着々とCDの方も作成が進んでいるので、そちらもお楽しみにしておいて下さいね!

2007.09.11

なぐさめる

元ミラノ大公のプロスペローは、愛娘ミランダに自分達がどうして地位を奪われ、どうして
この島に流されてきたのかを話す。
自分が国民に支持されていた大公だったから命までは奪えなかったこと、ゴンザーロという
現ミラノ大公の顧問官の男が、自分達父娘を思って命を助けてくれた事。
「お父様、聞くだけで涙が溢れてきます。
     幼き私は、大海の上でどれだけ邪魔な存在だった事でしょうか…。」
というミランダの意見に対しプロスペローは、
「いやそれは違う。ボロボロな船で大海の上を行くという過酷な状況だからこそ、
お前が必要だったのだ。お前の純粋な笑顔は、どんな試練をも忘れさせてくれた。」
という。

全てを話し終わってからミランダを静かに眠りにつかせる。
そして、召使いの妖精「アリエル」を呼ぶ。
「おい、ここへ来い。アリエル、早くしろ。ここへ来い!」
空気の中からふっと現れるアリエル。
「はい、ご主人様。ご用でしょうか…」
色々と次なる復讐の手立てを伝えるプロスペロー。
それを聞いてアリエルは不満そうにする。
「まだそんなに私をこき使うのですか?それなら、あの約束はどうなるのですか?
ご主人様は、私が見事に言いつけを守って見せたなら、
              丸1年は早く自由にしてくれるとおっしゃりました。
       不平不満も言わず、嘘も言わず、しっかりやってきたじゃあないですか…」

「ん?何か不満なのか?  …そうか。お前は私がお前にしてあげた事を忘れたのだな。
私がこの島に着いたとき、お前はあの忌々しい魔女の下僕だった。
しかし、お前は妖精で繊細なために悪事をする事やあの魔女の考えることへの反感から、
仕事を幾度となく失敗していた。
その罰として、お前は木の幹の中に閉じこめられて12年ものの間叫び続けた。
その間にあの魔女は死んでしまい、お前を助けられる者は誰一人いなくなった。」

ここでアリエルを不適な笑いでじっと見つめるプロスペロー。
少しずつ少しずつアリエルに近づいてゆく。

「…また、私がお前を木の幹に閉じ込めてやろうか?
    クゥウゥゥウゥゥゥウウゥッッゥゥ
…また、こんな苦しいわめき声を出したいのか?」

怯えるアリエル。
ぶるぶると小刻みに震え出す。
耐えられないくらいの強い視線と間。

「…。…。…。」

「お前にはいつも身の上話をしなくてはいけないな!!
  また死ぬ思いをするのが嫌ならば、早く、そして優雅に私の言いつけを守るのだ!!」

気が狂ったかのように怒鳴りつけるプロスペロー。
泣きわめく可哀想なアリエル。

「わかりました。わかりました…。」

素直に従うと、プロスペローは元の紳士な男に戻る。

「それでいい。ちゃんと言うことを聞けば、この復讐が終わったとき、お前は自由だ。」

今まで泣いていたのが嘘のように嬉しがるアリエル。

「ほんとですか!?それでこそご主人様だ!!」


アリエルはいたずらでかわいい子供のような妖精。
その力と言えば、大天使の1人のように強いけれど、性格はいたずらで素直な子供のよう。
そんな「ギャップ」に、つい観てると微笑んでしまうような存在です。
だからこそ、あの「泣き叫ぶ」シーンはショッキング。
可哀想としか言いようのないシチュエーションです。
そこに音楽が必要。
「死ぬ思いをしたアリエルを、音楽が救ってあげるのです。
            …そう。慰めると言ってもいいかもしれないわ。」
クリスティーナさんが僕に要望を告げる。
「でもね、この劇は、全てが2面性を持っているのよ。キャラクターから物語り全体まで、
全てが。このシーンも、ただ悲しいだけじゃなく、プロスペローがアリエルに思い出させた
『死』によって、アリエルには『パニック』が訪れたわ。だから、パニックに陥って、世界
が終わってしまうかのように大変な思いと、涙によって流されてゆく悲しみとが、うまく
共存できないといけないの。信也、あなたなら出来るわね。」

そう言われて、作曲してピアノで劇に音楽をつけるまでの時間の猶予は、たったの1分。
1分もないかもしれないな。
すぐさままたリハーサルに入る。
次同じところを演技するときには、僕の音楽は大体出来上がっていなくてはならない。
「産みの苦しみ」を味わっている暇すらない。
でも、僕の頭の中で、時間がないという危機感とプレッシャーとが、
 上手くバランスを取っています。

しかし、このプロスペローという男。
異常なまでの執念深さ。
大公だっただけあって、任務をやり遂げるという事への執着がすごい。
サディスティックなまでの時よりみせる性格。
しかし、そこには列記とした「父親」の温かさもある。
彼もまた2面性を持っているのだろう。
世界中でこのプロスペローという男には論議がされている。
「彼はやはり紳士だ」
  というのと
「彼はただの傲慢な男だ」
  というの。
本当に、いよいよそのどちらかが分からなくなってきた。
長年の復讐を成就するためならば、あの純粋でかわいいアリエルにも、
                        あんな酷い仕打ちが出来る男だ。
それだけ強い怒りだと言うことか…。
皆さんはどう思われるでしょう。
いくら優しい父親でも、あのアリエルへの脅し方を見てしまったら…

2007.09.10

復讐の始まりです

ミラノ大公一行のパニックを引き起こすために「嵐」を引き起こしたプロスペロー元大公。
「期は満たした」とばかりに、娘ミランダに事実を話し始める。
実の弟の策略により、自分たちがミラノを追い出されたこと、
そして、命からがら今自分達がいる無人島に辿り着いたこと。

今日は、その「父娘の真実の会話」をお稽古しました。
思い切って真実を告白するプロスペロー。
それを、眠気を振り払って真剣に聞くミランダ。
二人の会話は永遠と続きます。
その途中、「地獄に落とされたようなショッキングな音楽」を作って欲しいという事で、
今日はそれを一生懸命作曲しています。

さぁ、復讐の始まりです。

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